障害者自立支援法関連
障害者自立支援法については、障害者が安心して就労出来るように紆余曲折を経て平成22年に一応の成立を見ています。基本的に応益負担の実施を原則に、障害が重い障害者ほどサービスを受けると、結果として受けたサービス分(1割負担)を支払わなければならない為、生存権の侵害にも関わるため集団訴訟を経て応能負担に見直されたもの。その骨子は、
  1. 障害者の福祉サービスを「一元化」
    サービス提供主体を市町村に一元化。障害種別にかかわらず障害者の自立支援を目的とした共通の福祉サービスは共通の制度により提供。
  2. 障害者がもっと「働ける社会」に
    一般就労へ移行することを目的とした事業を創設するなど、働く意欲と能力のある障害者が企業などで働けるよう、福祉側から支援。
  3. 地域の限られた社会資源を活用できるように規制緩和
    市町村が地域の実情に応じて障害者福祉に取り組み、障害者が身近なところでサービスを利用できるよう、空き教室や空き店舗の活用も視野に入れて規制を緩和する。
  4. 公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」
    支援の必要度合いに応じてサービスを公平に利用できるよう、利用に関する手続きや基準を透明化、明確化する。
  5. 増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化
  6. 利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」
    障害者が福祉サービス等を利用した場合に、食費等の実費負担や利用したサービスの量等や所得に応じた公平な利用者負担を求める。
  7. 国の「財政責任の明確化」
    福祉サービス等の費用について、これまで国が補助する仕組みであった在宅サービスも含め、国が義務的に負担する仕組みに改める

というものです。 

●具体的には障害者自立支援法施行規則(厚生労働省令)を受けて運用されます。
また障害者自立支援法の3章には
--------------中略
第三章 
(市町村の地域生活支援事業)
第七十七条 市町村は、厚生労働省令で定めるところにより、地域生活支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。
 一 障害者等が障害福祉サービスその他のサービスを利用しつつ、その有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、地域の障害者等の福祉に関する各般の問題につき、障害者等、障害児の保護者又は障害者等の介護を行う者からの相談に応じ、必要な情報の提供及び助言その他の
厚生労働省令で定める便宜を供与するとともに、障害者等に対する虐待の防止及びその早期発見のための関係機関との連絡調整その他の障害者等の権利の擁護のために必要な援助を行う事業
 二 聴覚、言語機能、音声機能その他の障害のため意思疎通を図ることに支障がある障害者等その他の日常生活を営むのに支障がある障害者等につき、手話通訳等(手話その他
厚生労働省令で定める方法により当該障害者等とその他の者の意思疎通を仲介することをいう。)を行う者の派遣、日常生活上の便宜を図るための用具であって厚生労働大臣が定めるものの給付又は貸与その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業
 三 移動支援事業
 四 障害者等につき、地域活動支援センターその他の
厚生労働省令で定める施設に通わせ、創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流の促進その他の厚生労働省令で定める便宜を供与する事業

2 都道府県は、市町村の地域生活支援事業の実施体制の整備の状況その他の地域の実情を勘案して、関係市町村の意見を聴いて、当該市町村に代わって前項各号に掲げる事業の一部を行うことができる。

3 市町村は、第一項各号に掲げる事業のほか、現に住居を求めている障害者につき低額な料金で福祉ホームその他の施設において当該施設の居室その他の設備を利用させ、日常生活に必要な便宜を供与する事業その他の障害者等がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行うことができる。

(都道府県の地域生活支援事業)
第七十八条 都道府県は、厚生労働省令で定めるところにより、地域生活支援事業として、前条第一項第一号に掲げる事業のうち、特に専門性の高い相談支援事業その他の広域的な対応が必要な事業として
厚生労働省令で定める事業を行うものとする。

2 都道府県は、前項に定めるもののほか、障害福祉サービス又は相談支援の質の向上のために障害福祉サービス若しくは相談支援を提供する者又はこれらの者に対し必要な指導を行う者を育成する事業その他障害者等がその有する能力及び適性に応じ、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な事業を行うことができる。
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などがあり、この中で規則に定められない詳細の運用については、実施要項という部長通達、
●地域生活支援事業実施要綱で実施されます。
現在までの改正時歴は以下の通りです。
地域生活支援事業 地域生活支援事業実施要綱(最終改正:障発第0801002号)
平成18年8月1日
改正 平成19年6月18日
改正 平成20年3月28日
改正 平成21年3月31日
改正 平成22年3月25日
改正 平成23年3月30日
改正 平成24年4月5日)
この実施要項の(別記1-4p)、【別添2-8p】には基幹相談支援センターの基本的な考えが記載されてあり、実施においては自治体における透明性の確保が必要となります。
●基幹相談支援センター
民主党のマニフェストでは自立支援法は廃止にするはずだったわけですが、現実の国の財政状況と、障害者自立に関わる認識の変遷から応能負担の原則が明文化され、グループホームの家賃助成が設けられたこと。そして、相談事業の強化、「基幹相談支援センター」という相談業務を行う事業所が設けられます。基幹型の在宅介護相談支援センターというと、介護保険でいうケアマネジメントの色を濃くしているように思います。相談援助職の質や技術・公益性が問われる部分が多くなります。

介護保険との一体化を目指した総合福祉法の構想もありましたが、障害者自立支援法を廃止するための過程の一つとしての法改正なのか、それとも、障害者自立支援法を延命させるための法改正なのか。これからは地方自治体の対処姿勢と大きき関わってくるものと思います。

厚生労働省からは以下の考えが示されています。
★http://www.mhlw.go.jp/topics/2012/01/dl/tp0118-1-32.pdf
★http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/kaigi_shiryou/dl/20110630-02-02-2.pdf

大阪堺市では7カ所のセンターが設置されています