社福のカネ、遅れる法整備

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記事中、政府は社会福祉法改正案を提出しているとあるが、それぞれの自治体の民度に関わることで、住民自治基本条例さえ無い当地域には重い宿題となっている。議員の半数以上が補助金に対する是非の知性と市民からの付託に対する責任感を持たない限り問題の解決は無い。

社福のカネ、遅れる法整備 「あそか会」元役員の親族企業に8億円
2015年11月16日05時00分 朝日新聞から

写真・図版あそか会からファミリー企業へのカネの流れ

 介護施設や病院などを運営する東京都の社会福祉法人(社福)「あそか会」で、法人元役員の親族が経営するファミリー企業に約8億円の資金が流れるなど、不適切な会計処理の実態が第三者委員会の調査で分かった。非営利が前提の社福を「私物化」する事例は各地で相次ぐが、社福の運営を透明化する法整備はたなざらしになっている。

あそか会は、東京都江東区で病院や特別養護老人ホームなどを運営している。社福の収入の多くは、税金や保険料、利用者負担を原資とする介護報酬や診療報酬など公的なお金だ。

その特養が、あそか会元常務理事(昨年5月末に退任)のファミリー企業と建物管理で独占的な契約を結んでいたことが昨年6月、朝日新聞の報道で明らかになった。関係者によると、元常務理事はあそか会の経営を立て直し、事務局長として約30年にわたり運営を取り仕切ってきたという。

江東区などが「透明性を欠く経営だ」と指摘したため、あそか会は弁護士ら第三者による調査委員会をつくり、10月末に調査報告書をまとめた。報告書によると1990年代以降、あそか会での不透明な資金処理は約20億円にのぼり、このうち少なくとも8億円程度は元常務理事のファミリー企業に渡ったとしている。

まず、あそか会の有料老人ホームの6人の入居者が2007~09年に支払った入居一時金計1億7千万円が、元常務理事の子が役員を務め、ホームの入居に関する業務を受託していたファミリー企業=図のB社=に渡った。本来はあそか会に支払うべきお金だが、ファミリー企業からは小切手が担保として差し入れられたままになり、あそか会も、ファミリー企業に対する「債権」として帳簿に記載していなかった。

09~11年には、あそか会の病院から「薬剤代金の前払い」としてファミリー企業に約2億8千万円が送金された。このうち一部は薬剤代金として処理されたが、約1億6千万円分はまだ納入されていない。

また、もう一つのファミリー企業=図のA社=が所有する建物が、あそか会の職員寮として使われ、その「保証金」として93年に4億6千万円が支払われた。契約は03年に解約されたのに、保証金はまだ返還されていないという。

■「資金流出認識ない」

報告書によると、元常務理事は一部の流用を認め、「医師を招くための接待交際費に使った。私的に費やした記憶はない」などと説明したという。ただ、元常務理事は朝日新聞の取材には「不透明な資金の流出を行った認識は無く、そうした指示をしたこともない」などと文書で回答した。

放漫な支出や過大な病院建設費などが重荷となり、あそか会の経営は悪化。借入金残高は年間収入とほぼ同じ60億円に達し、銀行に借金返済を猶予してもらっている。今年7月には役員の大半が交代した。

あそか会はファミリー企業に対し、約8億円の返還を求める訴訟を起こす方針だ。7月に就任した古城資久理事長は「刑事責任を追及しても、お金が戻ってくるわけではない」として元常務理事を告訴しない考え。「早く経営を正常化させたい」とし、病院や介護施設の運営はこれまで通り続けるという。

■透明化法案、継続審議に

社福をめぐる不透明なお金の流れが問題化したケースはほかにもある。

新潟市の社福の元理事長は、ファミリー企業を使って社福に損害を与えた背任罪で今年7月、有罪判決を受けた(元理事長は控訴)。大阪府の社福で、理事長職が事実上売買された事例も朝日新聞の昨年の報道などで明らかになった。

こうした社福の「私物化」が相次ぐ背景には、高齢化で社福は確実な収入が見込める半面、会計監査が義務化されていないなど、社福の運営に対する国や自治体の監視体制が甘いことがある。

政府は、企業の利益率にあたる社福の「収支差」が民間企業に比べて過大だとして、今年度の介護報酬(介護サービスの公定価格)を9年ぶりにマイナス改定とした。

また、運営の透明性を高めるため、政府は社会福祉法改正案を今年の通常国会に提出した。役員報酬の基準を設けるように義務づけたり、一定規模以上の法人に会計監査を義務化したり、理事らに特別背任罪や贈収賄罪の適用を可能にしたりするものだ。

しかし、安保関連法の審議で与野党の対立が激化した影響もあり、法案は継続審議になった。政府・与党は今秋の臨時国会の開会自体を見送るため、社福の運営を透明化する法案の成立は来年以降にずれ込む。(北川慧一、松浦新)

■<考論>財務諸表の集計、内部告発喚起も

キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘さん
キヤノングローバル戦略研究所の松山幸弘さん

キヤノングローバル戦略研究所・松山幸弘研究主幹 社会福祉法が改正されれば、全国の社福から財務諸表が集まり、厚生労働省はこれを集計してデータベースを整備する。これまでは社福の市場規模すら分からず、自治体からの補助金総額も把握できていなかった。これでは、高まる社会福祉のニーズに国がどれだけ公費を投入すべきか判断できない。

厚労省が社福の全国規模のデータベースを作れば、行政の検査などに生かすことができ、不正の防止につながる。社福のもうけを職員が知ることで内部告発につながることも予想される。法改正では一定の規模がある社福は会計監査を義務付けられるようになり、ガバナンス(統治)の向上につながるのではないか。

◆キーワード

<社会福祉法人> 特別養護老人ホームや障害者施設、保育園など福祉を幅広く担う法人。約2万法人あり、約16万カ所の福祉施設の約45%を運営する。福祉を担うための公共性の高い法人と位置づけられ、利益を目的にしない非営利団体になっている。代わりに補助金や非課税などの優遇を受けている。

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