選挙の年:社会福祉法人の闇 3

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報われぬ国 負担増の先に)社福、親族企業に利益 行政、監視不十分 2014年6月2日05時00分 Asahi

特別養護老人ホームや保育園などを運営する社会福祉法人(社福)の一部が、理事長ら幹部の親族企業に建物管理などの仕事を優先して回していることがわかった。社福はお金もうけを目的にしてはいけないことになっており、本来は複数の企業を競わせる「入札」をして適正に取引先を選ばなければいけない。だが、こうした手続きが取られずに「ファミリー企業」にお金が流れ、自治体も監視できていない。▼2面=公私混同、横行

特養などを運営する社福「あそか会」(東京都江東区)の近くに8階建てビルが立つ。あそか会を約30年にわたって取り仕切り、5月末で退任した前常務理事(70)の長男が社長を務める企業が所有し、あそか会の訪問看護ステーションや研修センターが入る。

ビルには長男が社長を務める建物管理会社も入る。1990年代後半からあそか会が運営する特養などの保守や清掃を一括して請け負ってきた。

その仕組みはこうだ。(1)あそか会は昔からつきあいがある宿泊施設運営会社と保守や清掃を一括契約する。(2)その会社が1~2%の手数料をとり、長男の会社に仕事をすべて回す。

年間の契約額は昨年度まで1億2千万円を超え、今年度は約9500万円だった。前常務理事は「長男の会社がかなり利益をあげていたので、値引きさせた」と打ち明ける。

厚生労働省は社福に対し、高額の契約(4月からは2700万円以上)は複数の企業に価格などを競わせる「一般競争入札」を義務づけている。だが、あそか会は入札せずに宿泊施設運営会社と契約してきた。

さらに、長男の会社は前常務理事が社長を務める会社と(助言などの)コンサルタント契約を結び、料金を払う。前常務理事は社福のほかにこの会社からも「月50万~60万円程度」の報酬を得ているという。

前常務理事は朝日新聞の取材に対し、「長男が社長になる前から社福の仕事を契約し、更新してきた。良くないと気づかなかったことを反省している。(社福からお金を)吸い上げる気は毛頭ない」と話す。

朝日新聞が都道府県などを調べたところ、親族などの企業との取引を改善するよう命じる行政処分がこの5年で11件あった。

だが、都道府県などが社福の取引などを調べる検査は2年に1度。社福からの報告を確認するのが中心で実際の入札方法や契約書をくわしく調べておらず、実態が把握されないままになってきた。東京都もあそか会が入札していると報告したのを信じ、処分していない。(北川慧一、松浦新

◆<社会福祉法人の私物化>(これまでの連載から) 社会福祉法人は特別養護老人ホームから障害者施設、保育園まで幅広く福祉を担う。全国に2万法人近くあり、約16万カ所の福祉施設の半数近くを運営する。公共性が高く、お金もうけを目的にしない「非営利団体」だ。だが、一部の社福で、理事長らが自分の利益のために社福を億単位で売却するなどの私物化の例が相次いでいる。

(報われぬ国 負担増の先に)社福の公私混同が横行 身内企業から「月給220万円」

 ◇第2部 福祉利権

(1面参照)

新潟市内の社会福祉法人「心友会」に5月9日、新潟県警の捜査員数人が家宅捜索に入った。前理事長(67)が関係する給食会社が、心友会の特別養護老人ホームなどに納めている給食の代金を水増し請求したなどの疑いだ。その10日後、前理事長は辞任した。

心友会は県内で特養などを運営している。2001年、事故車などを修理して販売する会社を経営していた前理事長が、土地を寄付してつくった。

給食会社は前理事長が事故車などを販売する会社を05年に衣替えした。心友会の施設には別の会社が給食を納めていたが、06年ごろから前理事長の給食会社へと切り替わっていった。

心友会のある施設では12年春、高齢者向けの流動食の請求額が月約25万円から約40万円に上がった。流動食の中身はそれまでと変わらず、つくっている会社も同じ。だが、この会社から前理事長の給食会社が約25万円で仕入れたうえで、施設に約40万円で納める仕組みになったという。

心友会はこの10年ほどで特養やグループホームなどを次々につくった。給食会社の売上高も増え、いまでは5年前の3倍以上の約1億4千万円に達する。

一方、心友会は施設建設のため借入金がふくらんでいる。ある職員は「心友会の借金がこんなに増えて大丈夫なのか」と不安に感じていたという。

前理事長は11年に給食会社の社長職を部下に譲ったが、社員として残った。内部資料では、社員として、多い月に額面で220万円の給料を受け取っていた。ほかの従業員は15万円前後だった。「周囲は低い賃金で働かせて、自分だけぜいたくしている」。心友会の職員の間では、ひそかにそんな声も出たという。

厚生労働省は社福に対し、契約額が160万円を超える物品を買う場合は原則として、業者が自由に参加する「一般競争入札」か、業者を指名して競わせる「指名競争入札」を義務づけている。新潟県によると、心友会は給食会社と毎年160万円を超える契約を結んでいたが、入札していなかった。

■架空取引で代金1150万円

理事長ら幹部の「公私混同」は全国でみられる。

三重県松阪市で特養などを運営する社福は、元理事長の関連企業2社と同じ場所に設立された。県によると、一つは事務機器リース会社で、社福はこの会社の借金返済のために5億円を提供していた。もう一つは不動産会社で、社福はこの会社から約1億4千万円で土地を買い、その代金を二重に支払っていた。

12年、県は2社に対し、これらの金を社福に戻すよう命じた。その後、社福の所管を引き継いだ松阪市によると、事務機器会社は5億円を返したが、不動産会社は返していない。いまは社福の理事長は交代し、適正に運営しているという。

長崎県によると、長崎県対馬市にある社福は「魚住良太」という人物が経営する「介護サービス対馬」に、食材代やガソリン代などの代金として計約1150万円を払っていた。

ところが、介護サービス対馬の所在地にあるのは前理事長が経営する携帯電話販売会社で、前理事長以外は魚住良太に会ったことがないという。県は昨年、取引は架空で、領収証も偽造されていたとして改善を命じる行政処分を出した。

■書類を信頼/検査、事前予告 自治体側

厚労省は、社福が理事長らの関連企業と取引するのを制限していない。福祉基盤課は「入札や複数業者から見積もりを取ることで、不当に高い契約にはならない」と説明する。

だが、入札のチェックも十分ではない。社福には2年に1度、都道府県などが検査をしているが、東京都は社福「あそか会」(東京都江東区)が入札をせずに建物管理の契約をしてきたことを把握できなかった。

都の指導調整課によると、検査は社福が取引について報告する「調査書」を提出させ、確認する。12年の検査では、建物管理について調査書に「入札」と書かれていたのを信じ、実際の契約書や関係書類を調べなかったという。都が行政処分を出したのは、近年では07年度に2件あるだけだ。

新潟県は今年3月、社福「心友会」にファミリー企業との取引などを改善するよう命じた。社福への新潟県の行政処分は初めてだ。

検査の担当者は「普通の検査では事前に日程を知らせて書類を用意してもらう。社福がそろえた書類の真偽を見抜くのは難しい」と打ち明ける。

県は検査で心友会が入札をしていないことを把握し、処分の前に指導もしていた。ところが、心友会は是正することはなかった。

社会福祉法では、社福の不正に対して都道府県などが改善を命じる行政処分を出し、従わなければ業務停止や理事長らの交代を勧告する。それでも改善されない場合、解散させることができる。だが、業務停止や解散は入所者への影響が大きいため、「軽々しく出せない」(新潟県)という。(北川慧一、松田史朗)

■情報開示の義務化を 記者はこう見た

社会福祉法人は篤志家が福祉のために寄付をしてつくった歴史があり、法律や制度は「性善説」に基づいている側面がある。実際、多くの社福は理事長や職員がまじめに高齢者らと向き合い、福祉を担っている。

だが、こうした制度は悪用されるおそれもある。一部の理事長らが勝手に社福を売ったりファミリー企業に仕事を回したりして利益を得るのは、制度の不備があるからだ。

高齢化が進み、社会保障のための国民の負担は増す。負担が適正に使われているかをチェックする必要性は高まっている。

まず理事長らの私物化を許さないよう、罰則も含めて法律に厳しく定めるべきだ。運営内容や取引について公認会計士などがチェックする外部監査や情報開示も義務づけ、社福がより利用者や地域に開かれる制度にしなければならない。(北川慧一)

 

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