衆院選の低投票率 主因は中高年 (風見鶏)

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記事にあるような本格的な選挙離れ社会の到来ということを考えた時、われわれはどう対処すべきなのか。若者の選挙離ればかりを言ってはいられない。恒常的な高齢化が進む現在、中高年こそ選挙に奮起しなければならないということなのでしょう。

2014/12/21 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版 

衆院選の投票日、岩手県山田町の空は晴れ渡っていた。これ以上ない選挙日和だったが、投票所に足を運ぶ町民は多くなかった。投票率は51.50%と、前回より14.25ポイントも低かった。

町選管も危機感を抱いていた。岩手日報には「全国で期日前投票を済ませた有権者は前回より10.29%増えた」とあるのに、同町はその時点で前回比2.65ポイント減だったからだ。

防災放送で「投票は午後6時まで。お早めに」などと繰り返し呼びかけたが、目立った効果はなかった。

同町は鈴木善幸元首相の出身地である。後を継いだ長男の俊一氏と合わせ、大半の町民が戦後2回目の衆院選からずっと「鈴木」と書き続けてきた。

ところが1票の格差是正のため、今回の選挙から同町は岩手2区から3区に移動させられた。生活圏は2区の宮古市と一体で、3区の釜石市とはあまり行き来がない。鈴木後援会は3区の自民党公認候補のポスターを事務所に貼ったりしたが、名前はなかなか浸透していかなかった。

昼食に入った食堂で店員に「投票行った?」と聞くと「誰に入れてよいかわからない」との答えだった。

今回の選挙では選挙区が5つ減ったほか、42選挙区で区割りが変更になった。その多くで山田町と同じことが起きた。投票率が全国最低だった青森県。3区から2区に移った五戸町の投票率は39.01%と前回から17.09ポイント下がった。

投票率52.66%。今回の衆院選は選挙結果もさりながら、2人に1人の有権者が棄権したことが大きな話題となった。

山田町の事例からわかるのは、何らかの形で人々を束ねてきた枠の外に置かれた有権者の足は投票所から遠のきがちということだ。

投票率が低かったのは、遊びほうけて選挙に行かない都会の不真面目な若者のせいだ。もし、そう思っている読者がおられたら、それは誤解だ。16日の朝刊がまだ手元にあれば、投票率の全国一覧をもう一度眺めてもらいたい。

投票率が一番高かったのは島根県だが、都道府県ごとに見比べると、かつてのような「過疎地は高く、都市部は低い」といった傾向は見いだせない。

50%を割り込んだのは青森、宮城、富山、石川、徳島、愛媛、福岡、宮崎の8県。東京都は54.36%と全国平均を上回ったのみならず、ただ1カ所、過去最低を更新しなかった。

次に年代別だ。今回の衆院選の詳細データはまだ発表されていないので、昨年の参院選でみてみよう。

投票率は年齢が若いほど低いが、2010年と比較すると事情は違ってくる。20代の下落幅は2.80ポイントと以前より小さい。40代で7.14ポイント減など下落幅は中高年の方が大きい。

特に60代の6.04ポイント減は注目だ。団塊の世代がいま60代なので、ここでの変動は全体の投票率に大きく影響するからだ。統計的に分析すれば、近年の投票率低下の主因は若者ではなく、中高年にある。

有権者の投票行動に詳しい埼玉大の松本正生教授はこうした状況について「選挙ばなれ社会が一段と進行している」とみる。

中高年の棄権が急増しつつあるのはなぜだろうか。明るい選挙推進協会の調べによると、自宅から投票所まで5分未満だと投票率は81.7%だが、20分以上だと52.2%に下がる。

つまり手っ取り早く投票率を上げたいならば投票所を増やせばよいというわけだ。シルバー民主主義の弊害が指摘される折、若者と中高年の投票率の差が再び広がるのがよいことかどうかは要検討だが……。(編集委員 大石格)

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