「地中壁」期待と懸念 浦安市長選 液状化対策

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「地中壁」期待と懸念 浦安市長選 戸建て住宅 液状化対策

住民合意を受け、地質調査が始まった住宅地=浦安市で

2014年10月23日東京新聞

任期満了に伴う浦安市長選が26日に投開票される。東日本大震災で市内の86%が液状化被害を受けて以降、市長を選ぶ初の選挙。復興が道半ばにある中、市政の最大の課題は、国の復興交付金で実施する一戸建て住宅の液状化対策だ。市は地盤沈下を軽減できるとして、地中に格子状の壁を埋め込む工法を採用したが、2回にわたる全戸同意が必要。市民からは期待と懸念の声が交錯している。 (服部利崇)

「地下水の動きを最大限シャットアウトできる。子孫に安全な土地を残すにはこの工法しかない」

 「格子状地中壁工法」で液状化対策に取り組む美浜三丁目の男性(66)は話す。実績のある工法だが、建物がすでにある住宅地での採用は全国初。男性は「『できっこない』という人を、仲間と一年かけ粘り強く説得した」。美浜三丁目1~14街区は百九十一戸が工事前の地質調査に応じた。

 市は調査実施の際、全戸同意を条件としている。「格子が一つ欠けると、むしろ通常地盤より液状化が起きやすくなる可能性もあるからだ」と担当者は話す。

 市は八月、十三地区の二千五百八十一戸(六十ヘクタール)が地質調査に合意したと公表。現在は二十地区の四千百三戸まで増えた。対象宅地数の約45%になる。

 ただ、調査費用は個人負担が必要ないのに対し、工事は一戸当たり百万~二百万円の高額負担が生じる。美浜三丁目の工事の詳細は来年三月にもまとまり、そこで各戸の負担額が示される。ここであらためて全戸合意を得ないと着工できない。前述の男性も二度目の全戸同意は「正直、簡単ではないだろう」と覚悟する。

 全戸同意は地域の分断を招くとの指摘がある。実際近隣のあつれきを恐れて同意した人もいる。「一人暮らしの五十代の友人は『うちだけ反対だと困るから』と、近所に気兼ねして同意をした」。液状化被害の大きかった地区に住む主婦(64)はそう明かした。

 マンション住民の視線も厳しい。「宅地の液状化対策は原則自己責任」(市担当者)だが、公道とセットでの対策だと国の復興交付金を活用できる仕組み。建築家で市民団体代表の只野康夫さん(75)は「マンション住民には関係ない。一戸建て住宅の地区にだけ公金投入はおかしい」と指摘する。

 復興交付金の期限は二〇一五年度末(一六年三月末)まで。市の担当者は「一五年度中に一地区でも多くの工事完了を目指すが、全戸同意に時間がかかる。一六年度に工事がかかることも想定し、国と交渉している」と話す。

 二十二日夜に市内で開かれた液状化対策の勉強会でも、復興交付金の期限が話題に上った。元大学客員教授の辻純一郎さん(72)は「一五年度中に完工しないと、復興交付金は出ないのでは」と指摘している。

 <格子状地中壁工法> セメントなどを液状化しやすい砂などの層に入れ、地中に壁を造って格子状に配置する工法。浦安市は、道路と宅地の境界などを碁盤目のように囲む方法を採用する。1地区100戸想定で、総事業費は7億~9億円を見込む。公道は全額公費。宅地は1軒当たり半額を公費で負担し、さらに市が100万円を上限に補助する。残った額は宅地所有者が負担する。市は「1軒100万~200万円」と説明。詳細設計後、実際の負担額が示される。より効果が見込まれる規模として100宅地以上(面積で2ヘクタール超)を市は推奨しているが、地区の形状から18宅地にとどまる地区もある。地下水位低下工法も検討したが、市は「地盤沈下の恐れがある」などと採用を断念した。

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