復興交付金 5346億円未着手 全体の19%

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いささか話題が風化気味だが、国が定める「復興・創生期間」としての東日本大震災からの復興の基本方針については、昨年3月に新しく閣議決定されている。浦安市では、住まいと街の復興・住宅再建については進捗したものの、被災地復興の基盤となるインフ ラ整備の推進については、住民の合意が形成されなかったというで済まされようとしている。果たして合意形成の不首尾は住民の責任なのか。(以下の気仙沼市の記事でも、進捗が遅れている現状は、住民参加を重視した結果でもある、としているが果たしてそうか?)

震災後6年が経過したした現在、液状化の街のイメージだけが一人歩きし、地域における天然の免震装置への評価をする者は少ない。前市長下の行政が住民の異見を忖度せず、宅地をセットにした「格子状地中壁工法」への拘りから、同工法での100%の合意を住民に強い、結果、合意形成ができなかったとするのは問題のすり替えでもある。

他市が進める道路の地下水位低下工法ならば、凡そ10分の1のコストで済み、合意形成は公共工事のため住民の合意も3/5で済むことから浦安市では100%実施ができるはずだ。もっとも、英明・理性的な歴代の為政者が不在の中、住民側としても政治関与に無関心な空気と、住民の行政への協働の仕組みが不在のままでは前に進まないのも現実だ。

ともあれ、天然の免震装置が維持できていることを良しとすべきか。(先の震災で建物の不同沈下は起きても、建物の崩壊は住宅地で1軒も起きてはいない。100-300年後には地中壁も含め、ジャッキアップで使われたセメントミルクも完全崩壊し、地下に於ける埋め立て地という構造は何ら変わることはない。震災に狼狽しいろいろなことがあったが、人は、何を学んだのだろうか。)


復興交付金 5346億円未着手 全体の19%、本社調べ  2017/9/9 0:46 情報元 日本経済新聞 電子版

東日本大震災で被災した宮城、岩手、福島3県で復興交付金を使う事業の進捗を日本経済新聞が調べたところ、まだ5346億円分が工事の契約を結べず、着手できていないことがわかった。交付金総額の19%に相当する。前例のない大規模な災害からの復興事業のため、住民合意の形成や並行する大規模工事間の工程調整に想定以上の時間がかかっている。

復興交付金を使った事業は、国が定めた「復興・創生期間」が終わる2020年度末までに完了しなければならない。工事完成のメドが立たないと、事業ができなくなる懸念もある。工事期間を考えれば、着手までに残された時間は少ない。

東日本大震災の発生から11日で6年半になる。復興交付金を使う事業の3月末の契約状況を復興庁が調べたデータをもとに、被災3県の72市町村の進捗率を集計した。

復興交付金は16年度までの6年間で総額2兆7888億円。このうち事業が完了したか、建設会社などと契約を結んで事業が進んでいるのは81%にあたる2兆2542億円だった。残る5346億円は震災から6年が過ぎた段階でも工事契約を結べていない。

「津波で流された橋を架け替えるには重機を通す建設道路をつくる必要がある。道路用地が上下水道などの予定地と重なれば工事期間をずらさなければならない。多くの工事が集中し、事業間の調整が難しい」。宮城県気仙沼市の菅原茂市長は復興事業が遅れがちな要因を、こう説明する。

2万人近くが犠牲になった東日本大震災では多くの住宅やインフラが津波で流された。国や県、地元市町村が一斉に復興事業に取りかかり、工事期間などの「交通整理」に今も苦心している。

大規模災害に対応するため、被災自治体の業務量は膨大になった。震災前に気仙沼市の一般会計予算は300億円程度だったが、17年度は約1000億円。震災後の最大時期には2000億円規模のこともあった。一方で職員数に大きな変化はなく、1人あたりの仕事量は3~6倍に増えた。職員不足も復興事業を遅らせる一因だ。

街をどんなかたちで再生するかの合意形成にも時間がかかる。岩手県釜石市は21地区の市街地を再建するため、各地区で官民の協議会を設けて議論してきた。テーマは被災者が移り住む住宅の概要から公園や小中学校の再建場所、共同ごみ置き場の位置まで幅広い。

被災地では復興事業がなお続いている(宮城県気仙沼市)

被災地では復興事業がなお続いている(宮城県気仙沼市)

釜石市復興推進本部事務局の金野尚史係長は「当事者が納得して進めないと将来、事業をやり直すことになり余計に費用がかかるリスクもある」と話す。進捗が遅れている現状は、住民参加を重視した結果でもある。

復興交付金の期限が近づくなか、気仙沼市は工事の設計業務などで民間委託を増やし、事業を加速する。釜石市は国や岩手県の担当者も交えた調整会議を毎月開き、組織の垣根を越えて工事期間の最適化を進める。

津波被害が小さかった地域では事業を終える自治体も出てきた。宮城県の村井嘉浩知事は「人手や資金、物資を被害の大きい沿岸部へ集中的に振り向け、復興事業の加速に努める」と話す。

▼復興交付金 東日本大震災で大きな被害を受けた地域を再生する国の支援の中核的な制度で、市町村に配分される。被災者が移り住む住宅の建設や市街地再生に向けた土地区画整理など用途は幅広い。3月末時点で北海道から東北、関東、信越の11道県102市町村に交付されている。

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