他人のフトコロを気にするわけではないが、アベノミクスで堅調に推移している日本経済、ホントの意味で実力経済大国の復権を遂げるためには、不労所得を社会が認めないという点でのコンセンサスが必要なのではないでしょうか。浦安の政治にダブらせてみても、改革を急ぐべき点だ。カラクリはどこの世界にもある、といった認識から飛び出さないと、名実ともに強い経済は達成できない。まずは足下から。以下は転載です。
朝日朝刊(2013年03月09日)
2013年03月09日
(教えて!電気料金:)電力会社の給料、高すぎないの?
電力会社の給料はふさわしい水準なのだろうか。電力会社はある指標を示し、高い給料をもらってもいいと主張している。
指標とは、社員1人がどれだけ電力を売っているかを示す「1人あたり販売電力量」だ。これが多いほど、一人一人が効率よく仕事をして「労働生産性」が高いのだから、給料も高くていいと言う。
九州電力は、労働生産性が全国10電力会社のうち3番目に高いと説明。このため、これまでの社員の平均年収は826万円で、地元の大企業の平均646万円を大きく上回るばかりか、電力業界でも高い水準だ。
しかし、これには「からくり」もある。
九電は東日本大震災直後の2011年4月、子会社3社を統合して「九電ハイテック」という100%子会社をつくった。九電から送電線など電力設備の保守点検を委託されている。
九電は12年度、ハイテックに678人の社員を出向させた。ハイテックの従業員837人(12年7月時点)の約8割を占める。この出向を3年間でさらに200人以上増やすという。この結果、1人あたり販売電力量を計算する時の九電社員の数は減るので、まるで1人あたり販売電力量が上がったかのようにみえる。
こんな見かけ上の「労働生産性の向上」で、高い給料水準を守っているのではないか。経済産業省で九電と関西電力の値上げを審査している専門委員会でも、委員から「仕事を委託に出しても、1人あたり販売電力量は増える。それを効率的だと安易に認めてはいけない」という指摘が出た。
ハイテックの非常勤役員には12年3月に九電社長をやめた真部利応(まなべとしお)氏がいる。九電が関連会社の社員らに、玄海原発(佐賀県)の再稼働に賛成するメールを送らせた「やらせメール問題」で引責辞任した人だ。真部氏は今も顧問として九電に残り、個室と秘書、車を与えられている。
関電は14人の顧問に計1億4千万円、九電は3人の顧問・相談役に計8900万円を毎年支払っている。
両電力とも、これらの報酬まで、電気料金をはじくための「原価」(発電になどにかかる費用)に含めようとしている。つまり、家庭にも真部氏らの報酬を負担させようというのだ。
専門委も6日に値上げ審査の方針案をまとめ、人件費に切り込んだ。
方針案では、顧問や相談役の報酬は原価に入れない▽平均2千万~4千万円台の役員報酬は中央省庁の幹部並みの平均1800万円に▽社員の平均年収は値上げ申請で関電が約16%減、九電が約21%減にする計画にしているのを、関電が約21%減、九電が約28%減にする、などを盛り込んでいる。(上地兼太郎、渡辺淳基)
■値上げを申請した5電力の幹部・社員の給料は?
◆顧問・相談役数(年間の報酬額)
東京電力(認可後) なし(2012年3月末で廃止。11年度は26人に計1億600万円)
関西電力 顧問14人(計1億4千万円) 原価に含めると申請
→専門委は「含めるべきではない」と指摘
九州電力 顧問1人、相談役2人(計8900万円) 原価に含めると申請
→専門委は「含めるべきではない」と指摘
東北電力 人数、報酬額とも非公表 原価には含まず
四国電力 顧問2人、相談役4人(報酬額は非公表) 原価には含まず
◆役員数(年間の報酬額)
東京電力(認可後) 22人、1人あたり1300万円。下河辺和彦会長は全額を辞退
関西電力 17人(平均4100万円)
九州電力 19人(平均3300万円)
東北電力 21人(平均2900万円)
四国電力 18人(平均2800万円)
◆一般社員の平均年収
東京電力(認可後) 720万円から590万円に減額
関西電力 790万円から664万円に減額
→専門委は「627万円まで減らすべきだ」と指摘
九州電力 826万円から650万円に減額
→専門委は「598万円まで減らすべきだ」と指摘
東北電力 807万円から642万円に減額
四国電力 767万円から645万円に減額
◆各電力が「その地域の平均年収」として示した金額(従業員1千人以上の企業、正社員)
東京電力(認可後) 609万円
関西電力 649万円
九州電力 646万円
東北電力 638万円
四国電力 633万円
◇記事へのご意見はkeizai@asahi.comまで。
ランキングへ